アンソニー・ジャクソン氏放出の、本人使用機がベースコレクションに奇跡の登場です。
現在の六弦ベースのスタイルを提案し、現代最高のルシアーと共に完成させたアンソニー・ジャクソンのドリーム・ベース、”Contrabass Guitar”。1975年にカール・トンプソンが手掛けた”Number 1”から数えて 10本目となる本器は、10代の頃に既にアイデアとしてあったという彼の理想の楽器を完璧な形で具現化した究極であり、現在のフルホロウ・ボディーのPresentation II が完成するまで、実に17年もの長きにわたりメインとして活躍し、数々の名演を残してきました。
中でもMichel PetruccianiやMichel Camilo、上原ひろみ等との共演で人々の心に深く刻まれた氏の鬼気迫る演奏、またその表現に欠かすことの出来ない上質なコントラバス・ギターのサウンドは、聴衆に6弦ベースという楽器の存在感を強く印象付けただけでなく、ジャズの分野ではとかく軽視されがちなエレクトリックベースの評価を再考させるのに充分過ぎるほどの説得力を持っていたことでしょう。
17年もの間、唯一のメインベースとして第一線で活躍してきた楽器とは思えないほど綺麗な状態が維持されており、初めて実物を拝見した際には自身の目を疑うほどでしたが、それもそのはず、細部までつぶさに観察してみれば、其処此処にタッチアップの痕跡も見られ、メンテナンスしながら大切に使用してこられたことが伺えます。
マエストロ、アンソニー・ジャクソンの”終わりなき音楽の旅路”の途中、最も濃密な時期を共に歩んできた歴史的名器を当店でご紹介させて頂けることを誇りに思います。
Text by Kenji Okazaki, Bass Fitter / Bass Collection