タルボ遣いの先人たち
幻想から希望、想像から創造へ、
エレクトリックギターの覚醒
1985年。近所の楽器屋さんには様々なギターが並び、見ているだけでワクワクした。
ギターに火を点ける人のモデルやマトみたいなレスポール、幾何学模様のテレキャス、白と黒のVみたいなシェイプ。
そしてロンドンやニューヨーク、日本のパンクを聴きまくっていた時期に定石とも言える白いレスポールを手に入れた。
片手にギター、心に宝島(当時の超サブカル雑誌)、気持ちは東京アンダーグラウンド、目指すは地元ライブ!
そんな中学生活に花をそえてくれたバンドがいた。
ラウドネスほどギターが目立つわけでもなく、スターリンみたいに過激でもない、説明し難い魅力に首まで浸かった。
更に嬉しいのはバンドスコアの後ろにある機材紹介、そこは料理人で言う秘伝の味を披露!くらいの有難さだった。
そこで出会ったのがTalbo。
「なんと不憫なカタチのギターでしょう?」
最初の印象は酷く悪かった。いや、この個性的なギターを操る個性的なギタリスト達への妬みだったのかもしれない。
しかし不思議の国に迷い込んだような感覚は一時的だった。
何事も無かったように白いレスポールでアナーキー・イン・ザ・UKを掻き鳴らす。 こうして高校生活をバンド活動に費やした。
時は経ち東京でGLAYとして活動の基盤が出来上がってきた95年頃ある雑誌に異常な違和感を憶えた!
不思議の国のギターが復活している!
そのギターは誰に媚びるでもなく凛とした個性で異彩を放っていた。
「このギターを操ってみたい。複数の個性がぶつかった時の化学反応を見たい。」
そんな衝動に駆られその足で三鷹楽器の門を叩き、長い滞空時間を経てタルボを所有することになった。
3シングル&独特のボディ構造でフェーダーを下げても出音は突き抜けて下がらない、当時の印象だった。
やがて暖かみあるギターという存在よりマテリアル、素材として様々な擬態を繰り返す一種の動物のように変化していった。
チーム名を「TALBO Secret FACTORY」とし、様々な可能性をぶつけてそのケミストリーを楽しんだ。
アームを別のものに変えよう、ブリッジはこれで良いのか?フロイドローズとの相性は?本体に基盤を埋め込めないだろうか、
電子音を発信するギターはどうだろう、いっその事木で作ってみたらどうなのか?サスティナーを入れよう、GKもプラスしよう。
本当に様々な実験と音楽への挑戦をしてきた。
楽器のみにとらわれず、過去3度の「GLAY EXPO」ではTalboから連鎖する無限の可能性をアートし続けている。
多くの実験に使われたTalboはやがて一つのカタチとなり「Platinum Black Wilkinson」というモデルで統一された、まさに珠玉の一本である。
画一的な概念に喧嘩を売る事によりまた新しいスタイルが生まれ出る、リスクを覚悟でやる事もたまには良いものだ。
目に入るもの、耳から聴こえる事、全てを否定してみるとまた新しい何かが見えてくる、なんて素晴らしいクリエイトだ。
出会うきっかけになった80年代の全ての音楽とクリエイター、「有頂天」、三鷹楽器、CAP-iNAに感謝の気持ちを込めて・・
http://www.glay.co.jp/
ミュータントは反ギタリストも魅了する
これからお話することは、多くのギタリストや、ギター愛好家の感情を逆なでするかも知れません。
ですが、私にギターを捨てることを思いとどまらせているTALBOという特異な楽器の魅力を語る上で避けられない話として、どうかご容赦ください。とはいえ、TALBOという極めて個性的なギターにたどり着いた皆さんであれば、多少なりとも共感していただける部分もあるのではないかと信じる次第です。
1983年のある日、私はある音楽雑誌の記事に衝撃を受けました。
それは、間もなく発売されるというTALBOの紹介記事でした。
革新的な開発コンセプトから生まれた 斬新なデザインと構造。それはあらゆる意味で多くのギタリストの嗜好に対する大胆な挑戦であると感じました。その時の素直な感想を端的に表すとこうなります。
「かっこいい・・だから売れないかもしれない」
「革新的だ・・だから売れないかも知れない」
TALBOは多くのギタリストが好む、ストラトキャスターやレスポールを源流とするデザインとはまったく別種の個性的なもので、完全なコピーや、ほとんどかわりばえのしない無個性な亜流デザインが主流商品のギター・マーケットでは完全な異端児です。
しかし、それゆえに、まさに多くのギタリストの需要に反し、かつギタリストさえ敵に回しかねない「突然変異種」を忽然と世に登場させたTOKAIの毅然とした姿勢と、そこから生まれたミュータントTALBOに私は魅了されてしまったのでした。
それがどんな音を出すのかも確かめないまま、数日後には私の手元にTALBOが有りました。
正直なところ、どんな音であろうとかまわないと思うほど、TALBOの存在感と誕生の背景に打たれていたのでした。
冷徹で無感情な原子番号13のボディー、鋭いアタック、割れたガラスの破片のように危険な透明感のある音。
「無菌カプセルの中で眠るコールドスリープ者の夢から発する音」というSF的な想像をかきたてるTALBOは、そのサウンドも十分に個性的で、合格でした。
それから数年、私の予感は的中していました。
TALBOを使用するプロミュージシャンはほとんど見かけませんでした。そしてついに、TALBO¥19,800、路上雨ざらし投売りセールという屈辱。普通なら「ラッキー!買占め!」となるところでしょうが、あらゆる受難とリスクを覚悟の上でTALBOを世に誕生させた開発者とTOKAI楽器に敬意と感謝の意を表し、私はイチキュッパのTALBOには手を出しませんでした。
価値あるものがたった¥19,800で手に入る現場を素通りさせる。
人にこのような感情を持たせる楽器 が他にあるでしょうか?
そして、TALBOの価値を理解しない多くのギタリストの保守性を思い、「やっぱりな・・」と心の中で毒づいたのでした。
それから20年以上も経ち、私は偶然TALBO Secret FACTORYのウエブページを発見して驚きました。
TALBOを深く理解し、絶滅を食い止めるばかりでなく、更なる進化を助けている人達が居ると。
TALBOの独自性と革新性に心を開き、ひとたびその価値を知れば病み付きになる事の証です。
誕生から20年以上経過したTALBOは、今でも新鮮で新しい。
単なる量産品としてではなく、主流に媚びない明確な開発コンセプトから生まれたTALBOであればこそ、今後もその独自性と革新性は色あせることはないでしょう。
私はギタリストであるにも関わらず、ギタリストと呼ばれることを嫌い、同時にギターを演奏するのが苦痛でもあります。
しかし、私が音楽を始めるきっかけになったのはエレキギターでした。
エレキギターが世の中で脚光を浴び始めた頃、それは、既成概念を破壊する危険な不良達の楽器のように見られていました。勿論私はそこに惹かれたのです。
その後エレキギターを中心とするロックミュージックの巨大産業化と大量消費、無害化が進むにつれ、私の目には、エレキギターは「無個性」「保守性」「思考放棄」のシンボルのように映るようになりました。
それが、私がエレキギターを嫌悪し、ギタリストと呼ばれることを嫌う理由です。
「そんなに嫌ならやめればいいじゃないか、このギタリストの風上にも置けぬ不届き者め」とお思いでしょう?
はい。おっしゃる通りです。
私は何度もギターを捨てようとしました。ですが、TALBOというミュータントがそれを思いとどまらせています。
しかも20年以上も。
しかし、私がエレキギターとしてTALBOを持つ時、そこには逆説的な動機があります。今、公然とその動機を明かしましょう。
"私がTALBOという革新と異端の申し子と共に行う行為、それは幸か不幸か、エレキギターの否定です"
なにとぞお許しください。
http://noroom.susumuhirasawa.com/
僕が使用するタルボは80年製。
現在のモデルとは違う完全初期モデルをベースに様々なカスタマイズを施している。
使用の動機は、憧れていたP-MODEL平沢進氏が使っていた点もなきにしもあらずだが、実は当時のマネージャがメーカーとエンドウスの話しをつけてきたというのが直接の理由だ。当時としては奇妙キテレツなボディ・シェイプとアルミ成形によるボディ。そして独特のアタック感とサスティン感を持ったタルボは、いわゆるスタンダードなギターにさほど興味がない僕にとっては非常にありがたい存在なわけだが、正直、普通のギターの感覚とは違うため、サウンド作りなどにおいては違う気持ちで望まなくてはならなかった。
そこで自分なりのカスタマイズを開始。当初メインで使用していたものは3シングルだったのだが、まずはアッセンブリにある“謎”のコイルを外し、次に他社のPUをマウントしてみる…などの試行錯誤をした結果、現在はリア/フロントにパッシブのEMG(ハムバッカー)と、センターにはハーフトーン用のシングルコイル(メーカー不明。ミニ・スイッチによりオン/オフ。単独使用不可)をマウントすることで、意味タルボの本来の個性を活かしつつ、普通っぽいギターっぽい使い方もできるようになったと感じている。
タルボの魅力はそのルックス面も非常に大きい。ボディ・シェイプは、好き嫌いを極端に分かつ強い個性とインパクトを放つが、そのためにどんな現場に行ってもルックスが溶けてしまうことがない。この立ち上る炎のような(あるいは、僕はチューリップのようだと言っているが)シェイプと存在感は他に類を見ない。ああ「タルボの人ね」と言われること必須だ。ただ変形ギターにありがちな弾きにくさやバランスの悪さは全くと言っていいほどない。
またアルミ・ボディとあって多少の扱いでも簡単に傷がついたり、へこむことがないのは嬉しい(以前日比谷野音でギターを宙に投げネックを折った経験があるが、ボディはビクともせず!)。
サウンドにおいては、個性が強い反面、僕のように自分にあったカスタマイズが自在にできる点も大きな魅力と言える。アルミ成形ですでにザグリなどもあることから、木を削るなどの大きな加工をせず、PUの交換やディバイデッドPUのマウント(デッドポイントが少ないので向いていると思う)など、改造ヲタとも言える僕には、自在に手を入れられるメリットは非常に大きい。ソフトだけではなく、ハードウェアの面からも自分のサウンドを追及する“コダワリ”タイプのギタリストには、まさにうってつけな存在だろう。
現在サブのタルボを、フレットレス化しGKとE-BOWを6基埋めるという改造を計画中だ。
ただでさえ“超”個性的なギターであるタルボ。ありふれた普通の音楽、あるいは軟弱で方向性の明確ではないギタリストが持っても完全にギターに負けてしまうことは言うまでもない。
しかしながらルックス、サウンド、音楽性、あくまで強烈な個性を持つアグレッシヴなギタリストにとってはこれほど強力なアイテムはないと言える。極端に言うなら、保守的なギタリストにはまったく向かないギターと言ってよいだろうし、オススメもしない。したくない。
万人向けではない。これが僕がタルボを愛し使用する最大の理由だ。
●Profile
Hackai(本名:渡邉博海)
ケラリーノ・サンドロビッチ(現・脚本家/演出家・シンセサイザーズVo)率いたテクノ・パンクバンド「有頂天」の元ギタリスト。CM、環境BGMなどの音源制作の他、Guitar Magazine、GiGS、YoungGuitar、Sound Designer誌などギター関連およびレコーディング関連の執筆や編集/デザインを行う。著作多数。最近休止していた対外的な音楽活動を再開。ギター・プレイの他、二胡、ブズーキの演奏も行うなど民族楽器や民族音楽等にも造詣が深い。
Hackai Watanabe Official Site
「食欲のアイマイな対象」
http://hackai.net/
TALBOを使いはじめた動機と魅力
動機は平沢進さんです。
TALBOを使いはじめた動機と魅力動機は平沢進さんです。
当時P-MODELを見て衝撃を受けました。楽曲もそうですがTALBOを持って歌っている平沢さんが印象的でした。
魅力はTALBOのボディーラインですね。あまりの格好良さにビックリです。
まぁ好みは人それぞれですが僕は最強だと思います。
ギター選びのコツは見た目です。
・これからギターを弾こうと思っている方、又は現在ギターを弾いている方へ
まずは鏡越しに自分に似合うギターを選びましょう。
そこで失敗したらやる気も失せます。
同上では有りますが、ギター選びのコツは見た目です。
http://www.adapter-web.net/
http://meto21.com/
http://thebeethoven.net/
https://iflyer.tv/ja/dj-adapter