Heartman Vintage Guitars コラム『Guild Starfireを知ろう』
小松崎です。アメリカ買付もかれこれ1年半ほど行けていませんし、そうなると大人気の(当店調べ)買い付けレポートも更新のしようがありませんので、これを機に以前ちょこちょこ更新していたヴィンテージ楽器にスポットを当てた特集なんかも復活させてみようと思っています。Twitterだとどうしても文字数が少ないですからね。。。
そんなわけで今回は、Guild(ギルド)の人気モデル、『Starfire(スターファイアー)』にスポットをあてていきます。ちょうどバージョンIIとバージョンIVが同時に入荷しておりますので、詳しくみてみましょう。香ばしさ全開でワクワクしてきましたね。
Guild Starfireとは
1960年代にバディ・ガイがStarfire Vを使用したことで注目を浴びるようになり、2021年現在もカタログモデルとして根強い人気を誇るGuild『Starfire』シリーズ。ハートマンヴィンテージでは歴代スタッフにStrafireフリークが多かったこともあり、アメリカ買付常連アイテムとしておなじみですが、今回は改めてヴィンテージStarfireにおけるシングルカッタウェイ/ダブルカッタウェイモデルの違いをそれぞれみていきましょう。
Guild Starfire シリーズ 各バージョンの基本仕様
Starfire I(Starfire 1) 1960~1964年
16-1/4インチ幅、2インチ厚のフルホロー/シングルカッタウェイボディ
ローズウッドフィンガーボード/ドットポジションマーク
シングルコイルピックアップ×1(1963年からハムバッキングピックアップに仕様変更)
アジャストマチックブリッジ/ハープテールピース標準装備
Starfire II(Starfire 2) 1960~1976年
16-1/4インチ幅、2インチ厚のフルホロー/シングルカッタウェイボディ
ローズウッドフィンガーボード/ドットポジションマーク
ハムバッキングピックアップ×2(1960~1963年頃はシングルコイルピックアップ×2仕様)
アジャストマチックブリッジ(1973年にローズウッドブリッジに仕様変更)/ハープテールピース標準装備
Starfire III(Starfire 3) 1960~1974年
16-1/4インチ幅、2インチ厚のフルホロー/シングルカッタウェイボディ
ローズウッドフィンガーボード/ドットポジションマーク
ハムバッキングピックアップ×2(1960~1963年頃はシングルコイルピックアップ×2仕様)
アジャストマチックブリッジ/ビグスビートレモロユニット標準装備
Starfire IV(Starfire 4) 1963~1987年
16-3/8インチ幅、1-7/8インチ厚のセミホロー/ダブルカッタウェイボディ
ローズウッドフィンガーボード/ドットポジションマーク(1973年からブロックポジションマークへ仕様変更)
ハムバッキングピックアップ×2
アジャストマチックブリッジ/ハープテールピース標準装備
Starfire XII(Starfire 12) 1966~1973年
Starfire IVの12弦バージョン
16-3/8インチ幅、1-7/8インチ厚のセミホロー/ダブルカッタウェイボディ
ローズウッドフィンガーボード/ドットポジションマーク
ハムバッキングピックアップ×2
アジャストマチックブリッジ/ハープテールピース標準装備
Starfire V(Starfire 5) 1963~1973年
16-3/8インチ幅、1-7/8インチ厚のセミホロー/ダブルカッタウェイボディ
ローズウッドフィンガーボード/ブロックポジションマーク
ハムバッキングピックアップ×2
アジャストマチックブリッジ/ビグスビートレモロユニット標準装備
Starfire VI(Starfire 6) 1964~1979年
16-3/8インチ幅、1-7/8インチ厚のセミホロー/ダブルカッタウェイボディ
エボニーフィンガーボード/ブロックポジションマーク
ゴールドハードウェア
ハムバッキングピックアップ×2
アジャストマチックブリッジ/ビグスビートレモロユニット標準装備
1990年代前半より各バージョンのリイシューモデルが登場し始め、現在もカタログモデルとしてラインナップされている。
各バージョンの見分け方
まずシングルカッタウェイモデルがバージョンI~III、ダブルカッタウェイモデルがバージョンIV~VIと、おおまかに分けることができます。番数が大きいのが上位バージョンとざっくり捉えながら、シングルカットのビグスビーユニット装備がバージョンIII、ハープテールピース仕様がバージョンII、その1ピックアップ仕様がバージョンI。
ダブルカットのビグスビーユニット装備がバージョンV、Vのゴールドハードウェア仕様がバージョンVI、そしてVのハープテールピースおよびドットポジションマーク仕様がバージョンIV。
ヘッドストックのインレイやフィンガーボードの材質等も把握しておくとより明確に判断できるでしょう。
それではハートマンヴィンテージのストックを基に、細部をチェックしていきましょう。
Guild
Starfire II ’73 Cherry Red
フルホローボディのマホガニートップ/バックらしい、大きな生鳴りとふくよかでクリアーなトーンが特徴です。
Guild
Starfire IV ’70 Ebony Grain
センターブロックボディのメイプルトップ/バックらしい、セミアコスタイルのしっかりとした鳴りと艶感、安定感のあるクリアーなトーンが特徴です。
ヘッドストック
ヘッドのサイズは60年代も70年代もさほど変化はありません。
両モデルともに、「Chesterfield inlay」が採用されています。インレイロゴの位置が70年代に比べると60年代は少し下がり目に位置していることがわかります。トラスロッドカバーの種類も60年代と70年代では違いがみられます。
チューナー
Starfire II ’73、Starfire IV ’70ともに、オリジナルの「GUILD」ロゴ入りオープンバックタイプが採用されています。ダブルカッタウェイモデルではGrover 102モデルがオリジナルで搭載されるパターンも多く、また、チューナー自体が交換されている個体も多く見受けられます。
ネックジョイント
ダブルカッタウェイモデルは初期が16フレットジョイント、1967年より18フレットジョイントに仕様変更されます。このバージョンIIは14フレットジョイント、バージョンIVは1967年以降の18フレットジョイント仕様であることが確認できますね。
フィンガーボード
良質な材が採用されていることでも評判のオールドStarfire。バージョンI~Vはローズウッド材、バージョンVIではエボニー材が基本スペックとなります。ポジションマークはバージョンI~IVがドット、バージョンV~VIでブロックとなります。バージョンIVは1973年頃からブロックポジションマークが採用されます。
ボディサイズ
シングルカッタウェイのバージョンI~IIIはセンターブロックなしのホローボディ、ダブルカッタウェイのバージョンIV~VIはセンターブロックありのセミホローボディとなります。
ボディ材
各バージョン、ラミネイテッドメイプルorラミネイテッドマホガニーが採用されます。
- Starfire II ’73 ラミネイテッドマホガニー/ブレーシングあり
- Starfire IV ’70 ラミネイテッドメイプル/センターブロックあり
全モデルにて、Cherry Red(Starfire Red)ではマホガニー、Sunburstや、その他Ebony Grain(Black)、Emerald Green等のカスタムカラーではメイプルを使用していたようです。
バージョンI~IIIでは基本カラーのCherry Red/マホガニーボディが多いのですが、Ebony GrainやEmerald Green等のカスタムカラーでメイプルを使用している個体もみられます。
バージョンIV~VIでは基本カラーのCherry RedやSunburst以外のカスタムカラーも多くみられ、こちらもCherry Redではマホガニー、Sunburstやカスタムカラーではメイプルが使用されています。
ブリッジ/テールピース
Starfire II では、1973年にそれまでのアジャストマチックブリッジからローズウッドブリッジへ仕様変更が行われました。
ピックアップ(両モデル実寸)
各バージョンにて、それまでのスモールサイズハムバッカーから1967年頃よりラージサイズハムバッカーへと徐々にマイナーチェンジが行われます。このStarfire IVは、1970年シリアルナンバーの本体にスモールサイズハムバッカーが搭載されている過渡期の仕様であることにも注目ですね。
コントロール
バージョンI以外の2ピックアップモデルではピックアップセレクタースイッチ/2ボリューム2トーンが基本です。バージョンIVでは1973年頃からマスターボリュームが追加されます。バージョンVとIVはマスターボリュームが標準装備となります。ピックアップセレクタースイッチは、II~IIIはカッタウェイ左側に、IV~VIはカッタウェイ右側に配置されています。
カラーリングによってはフルホローボディのメイプルモデルや、セミホローボディのマホガニーモデルも存在し、各年代の仕様も含めると様々なサウンドキャラクターがお楽しみいただける『Starfire』シリーズ。お好みの1本を探し出す楽しみを存分に味わえるモデルといえるでしょう。
皆さまの楽器選びの参考にしていただければ幸いです。