カナダ・プリンスヴィル工場。
こちらでは主にフルアコモデルの「5th Avenue」、ファミリーブランドのアコースティックギターを製造。
写真は入り口ですが、工場全体はフレームに収めるのが困難な程の大きさです!
■木工
工場内にて原木から全ての製材を行っているとの事で、ギター製作には欠かす事の出来ない良質な木材確保に対するゴダン社の強い拘りが垣間見れます。
南米や北方から種々の木材のストックには、いつまで寝かすかが明記されています。充分寝かせてから機械乾燥→製材となります。
「Atom G888」と強そうな名前の機械は、トップの裁断を行います。
緑色の大型機械は5th Avenue系のトップ材のアーチをプレス成型する機械で、その圧力は何と40トン!
ここまでハイパワーなものは珍しく、強力にプレスされた木材は変形を起しにくくなります。
この様な他では見られない独自のアイデアを活かして精度を獲得しているのもゴダン社の大きな特徴です。
正確に接着されたトップ材は、回転しながら乾燥されます。
各モデル、専用の冶具を用いて位置出しをするのは他社も概ね同じですが、接着時には真空圧着に加え空気で膨張した円形のクッションで更に圧力を加える事で接着強度を増しております。
この方式を取り入れてからはブレイシング剥がれのトラブルが殆んどないそうです。
更に、はみ出た接着剤を綺麗にそぎ落とし、トップ材には日付けが入れられます。
ミストで適度に水分を含んだボディサイド材は専用開発のプレス機で多角度から成型されており、一般的な型でのプレス成型よりも木材への負担が少なく済んでいます。
驚くべき事にこういった独自の技術を持った機械類や製作工具は自社内のセクションで専用開発されています!
複数台が同時に稼動しています。
楽器の演奏性やサウンドを決定付ける重要なファクターであるネックジョイントについては、専用の工具で角度を小まめに計測しながら作成されます。
接着前の最終段階ではレーザーを搭載したサンディングマシンにより、ボディ/ネックの接地面が精密に調整されます。
これはアコースティックギターが経年変化で避けて通れない、「元折れ」という現象を回避する優れた方法で、長い年月の使用でも剛性を保ち続けるアイディアです。
更に、ゴダンのトラスロッドは逆反り、順反りに対応できる、ダブルトラスロッドで、トラスロッドが締め切ったり、緩み切ったりすることが起こらないので、永く使用できる優れものです。
塗装を待つネックとボディ達。新製品のSummit Classicのチャンバーボディも見えます!
ロバート・ゴダン氏が熱く語る! Spanish CedarバックのSummit Classic!
■塗装
木の導管を埋めるウッドシーラー(目止め)を手作業で擦り込んでいます。
厚塗りされたシーラーをバフィングマシンで研磨して行くのですが、その手際の良さは思わず見入ってしまう程。
塗装作業は機械に頼れない部分が多く、職人技の光るセクションでもあります。
塗装の吹付け作業を行う専用ブース。
ブース内は清潔に保たれており、作業員の健康面にも最大限配慮した設備を備えております。
モデルによって紫外線の照射で塗装を硬化するUV塗装も採用しており、UV塗装は経年変化での退色や変色が起こりにくいのが特徴です。
乾燥中の5th Avenueボディ達!
人の手では困難なスピーディー且つ均一な作業を可能にしております。勿論、手作業でのバフィングも行われており細部まで丁寧に仕上げられていきます。
こういった手先の器用さを求められる作業の多くは女性スタッフが行っています。他写真でも分かりますが、各工場内は女性の割合が非常に高く、女性の部門長も多くいらっやいます。ゴダン社は福利厚生が手厚く、離職率が低い為、スタッフは皆さん経験豊富な方ばかりだそうです。
こういった拘りこそがメイドインカナダの高いクオリティに直結しています。
■まとめ
ファクトリーツアー後にリッチモンド工場前にて記念撮影。
今回多忙な中、案内いただいたロバート・ゴダン社長(写真中央右)、パトリック・ゴダン国際営業部長(写真中央左)、本当にありがとうございました!
ゴダン社は年々ファクトリー内の設備を拡充しており、世界的なシェアも益々拡大しております。規模を拡張していながらもクオリティを更に向上させているのは、ゴダン社の磨きぬかれた生産体制、最新の設備、そして楽器製作に情熱を持ったスタッフに他なりません。
特に設備を整え出来る限り工程を簡略化する事で誰が作業をしても安定したクオリティが得られる様に工夫をしている点は、ゴダン社の大きな特色と言えます。
イケベ楽器店では今後も定期的なファクトリー訪問をしながらゴダン製品を大プッシュして参りますので、ご興味のある方は是非イケベ楽器店の店頭にてその高いクオリティをお確かめ下さい!
■番外編 Head Office~Montreal JAZZ FESTIVAL
我々は午前中Godinギターズの本社で新製品の試作プレゼンや今後の展開でのミーティングを済ませ、夕刻からMontreal JAZZ FESTIVALエリアに向かう。 ストリートには様々なジャンルのストリートミュージシャンが音を出しています。
既にギャラリーで町は別世界となっていました。
翌日の画像と共にご覧下さい。
屋外の無料のライブとライブ会場での有料ライブがあります。パトリック氏と共にSylvain Lucへコンタクト!
特別にリハを見させて頂き待機!
本番は高齢な男女が多く独特の雰囲気に飲まれそうになります。
この日のライブは「RICHARD GALLOANO & SYLVAIN LUC HOMMAGE A EDIT PIAF」とタイトルされた、アコーディオンの世界的巨匠RICHARD GALLOANO(http://www.richardgalliano.com/)とのデュオでエディットピアフへのオマージュでした。
ライブ後半では観客が大合唱になる場面もあり、素晴らしい文化だな!と感嘆致しました!
RICHARD GALLOANO氏の使用アコーディオンはVICTORIAでした。
終演後バックステージにて、Sylvain Luc氏からお話を伺いましたが、昨日のリチャード・ボナとのデユオではGodin Multiac Nylonを使用されたとの事で、使用弦は工場出荷時と同一のダダリオ製ハードテンションを愛用されている、と伺った時は嬉しくなりました。Multiac Nylonのバックプレートへサインを頂きましたので、マニアなファンへのGodin購入特典と致しました。
オールドモントリオールの象徴的建造物は、日本の寺社仏閣同様、その荘厳な空気が我々を崇高な世界に連れて行ってくれそうな気にさせられます!徒歩で15分程でMontreal JAZZ FESTIVAL会場に到着。途中にチャイナタウンがあります。
編成はシンプルですが、演奏内容とPAが素晴らしく、上質なサウンドに驚かせられました。
夕刻パトリックと再び会場に戻ると、SOMI(http://www.somimusic.com/)という女性シンガーのグループが大きなグルーブで演奏しておりました。管が入りリズム隊がしっかりしていると、聴きごたえがあります。
そのライブが終わり少しすると、一番大きなステージでTHE MAVERICS(http://www.themavericksband.com/)というバンドの演奏が始まりました。
朝見た時はPAのサウンドチェック中でしたが、開演時間が近ずくと少しずつ観客が集まり、気がつくと1000人単位の観客で、一番長い空間を使ってプロジェクターや、PAスピーカーも吊り下げ式の最新版が稼動しており、通常イベントではクレーンで吊るところを、常設の巨大な曲った鉄骨に下げられています。こちらも演奏、PAともに驚く程良いサウンドでした。
ステージ間近でノッている人や、芝生で座ってビール片手で観覧する方等、様々な光景を目の当たりにすると、おのおのが自然体で心底音楽を楽しんでいるのが伝わってきます。
会場スペースは無料ですので、イベント全体の予算はモントリオール市も大きく関与していると思われます。
なお、昨夜のSylvain Lucの様に有料ライブは、クローズされた会場で開催されていました。