今回は、フルアコでありながらセミアコのボディ厚が特徴のEpiphone「Casino Worn」をご紹介致します。
Casino では定番のドックイヤータイプのP-90ピックアップ、ブランコテイルピースといった仕様ですが、このモデルはオリジナルの仕様を踏襲しつつ、「Worn」(使い古しの、擦り切れた)と名を冠するように艶消しの味わい深い塗装が施されております。
甘くふくよかなサウンドに落ち着きと気品を兼ね備えた大変魅力的なモデルです!
さらに、近づいてよく見るとうっすら木の地肌が浮き出ているので、ウッディな質感を引き立てるちょっとしたアクセントにもなっています。
まず、手に取って感じられるその「軽さ」。
セミアコのような薄めなボディに、中身が完全空洞なフルアコ構造なので、手に取って気付いた時にはもう弾き始めているといっても過言ではない程に取り回しが良いです。
また、ネック裏もボディの塗装と同様に艶消し塗装なので、手が引っかかりにくいです。
コードの移りや指板を全体的に使ったフレーズをストレスなく演奏できるのも良いですね!
さらに、ブランコテイルピースが取り付けられているため、ES-335のようなストップテイルピースとは異なり、弦の張りが緩やかです。
こうした弦の張りの緩やかさがフルアコらしい甘くふくよかなサウンドを生み出しています。
ブランコテイルピースが搭載されていることで、ヘッド先からエンドピンまで一直線上に線が引かれているようで、引き締まって見えます。
見た目にも良いアクセントとなっています。
続いて、サウンド面です。
ピックアップはシングルコイルである「P-90」を搭載。シングルコイルの歯切れの良さとハムバッカーのふくよかさを兼ね備えたサウンドです。
ネックピックアップ選択時は、フルアコらしい甘くふくよかでありながら、すっきりとしたトーンが特徴的です。
一般的なフルアコとは異なり、セミアコのような薄めなボディ厚なので低音域が余計に主張しすぎることがないので、ジャジーなフレーズを弾いても埋もれにくい印象です。
ブリッジピックアップ選択時は、ふくよかさに明瞭さが加わったトーンが特徴的です。
フルアコ構造なので、ソリッドギターらしい煌びやかでシャープなサウンドではありませんが、耳馴染みの良い明瞭さであるからこそ、コードを鳴らした時の各音域がバランス良く聞こえてきます。
また、ここぞと目立たせたいリードフレーズにも活躍できるサウンドです。
その他、デメリットとして、ボディが空洞なので、歪ませるとハウリングを起こしてしまいます。構造上致し方ない部分でもあります。
また、ネックは深めにジョイントされているので、16フレット以降が弾きにくい印象です。
高音を聴かせたいソロフレーズには向かないかもしれません。
ローフレットでコードを弾く、14フレット付近までを使ってリズムとメロディを奏でるにはぴったりだと思います。
しかし、こういったデメリットがありますが、ギターは少々不器用なくらいが可愛いらしいものです。
Casinoでしか生み出せないサウンド、弾き心地を十分に堪能できること間違いなしです。
初めてのフルアコを探している方や気軽にフィンガー奏法をするギターを探している方もこの機会に手に取ってみてはいかがでしょうか。