今回は、Ibanez AM93ME-NTをご紹介。
初めてのセミアコ、いつもとは違ったセミアコ、手軽に弾けるセミアコをお探しの方必見です。
Ibanezというと、早弾きやテクニカルな奏法でハードロックやメタル等のギタリストが愛用するギターメーカーという印象が強いですが、ジョージ・ベンソンやパット・メセニー、ジョン・スコフィールドといった有名なジャズやフュージョン系のミュージシャンのシグネチャーモデルが登場しているほどに、ホロウ(箱もの)ギターも根強い人気があります。
そんな本モデルは、「AM」という一般的なセミアコよりも一回りサイズが小さいシリーズのものとなっております。
ボディは、トップ・サイド・バックにマカッサルエボニーを採用しており、縞の木目がダークブラウンの落ち着いた色味、ゴールドパーツと相まって、上品な渋さをまとっています。
ネックは、ニャトーとメイプルの3ピースで、反りに強い仕様となっており、ネックシェイプは細すぎず、かつ太すぎずない程良い肉付きで、1950年式LPのネックシェイプに近い感触がします。
そして指板材は、ボディと同様にマカッサルエボニーを採用。
ピックアップは、Ibanezのホロウギターではお馴染みの「Super’58」を搭載。
温かさと明瞭さを兼ね備えたサウンド、レスポンスの良さが特徴で、ボディサイズやマカッサルエボニーの材の硬くクリアなサウンドと相まって、弾力がありながらも歯ごたえ、歯切れが良い「パリッと」した印象です。
例えるなら、ボイルした高級なソーセージを嚙み切った時のあの「パリッと」感です。
もう少し具体的に言うと、甘くふくよかで低音域から中音域にかけて音の重心があるGibsonやEpiphoneといった定番のメーカーのセミアコ(ES系)と比較すると、低音域は控えめでソリッドギターに近い音の印象ですが、ホロウ仕様なのでエアー感があります。
Les Paul SpecialといったP90タイプのピックアップのソリッドギターを鳴らした時の各音域のバランスの良さ、乾いた音色に艶とエアー感を足したような印象です。
カッティングやアルペジオ、クランチ程に歪ませてコードを鳴らした時の馴染みやすさは、クラシックなロックやロックンロール、ポップスにピッタリです。
そのため、GibsonやEpiphoneのセミアコの代替とは言い難いモデルであり、別角度からアプローチをしたセミアコと見た方が良さそうです。
その他、このAMシリーズには「AM93QM」というモデルもあり、波打つような杢目が美しいキルトメイプルをトップ材に使用しています。(写真8、9枚目)
Jet Blue Burstのカラーは、まるで透明度が高く澄んだ海のようで鮮やかで爽やかな印象です。
このモデルもなかなか目を引く佇まいです。
しかしながら、ここ数年で製品クオリティが上がり続けているインドネシアで製造され、このサイズのセミアコを10万円代で手に入れられる機会はそうないと考えると、大変魅力的ではないでしょうか。
この機会をお見逃しなく!