■Electro Harmonix
Deluxe Memory Man
省エネ仕様ではない、これぞアナログ・ディレイ。
1つ前に「Memory Toy」の記事を書かせて貰いました。このタイプは最初に実際のBBD(遅延素子)をくぐる事でまずは10~30ms程度の超ショートディレイを作ります。その後の遅延をデジタルディレイ回路が受け取って増幅させる方法で「コストカット」と「一定の音質の確保」に成功しています。
アナログディレイはBBDの足し算を回路に作用させて最大msを作り出します。その為、BBDそのものがチープな素材だったりするとそのまま足し算なのでどんどん音が悪くなっていきます。ノイズも多くなりますね。それらのマイナス要素を最小限にする事で、サイズ、価格、生産数を攻める事が可能になるのです。決して安易な方法論ではなく、季節(温度)にかかわらず速やかにスタンバイオンが出来るのもハイブリッドタイプの良い所と言えます。ましてはバンドで音が混ざった所で、「自慢のこだわり」は外部の人には説明しない限りは伝わらないものです。
でも、伝わらないけどこだわりたいのがギタリストの性。
Deluxe Memory Manはおよそ100~110msのBBD(MN3008)を4つ直列させて作用させておよそ550msにするのがいにしえの仕様。現行のXOシリーズになると基盤デザインは整理整頓されてムダのないレイアウトになりましたね。
ヴィンテージの回路は100~110msベースのアナログディレイ回路が中で4つ繋がっている仕様だったと記憶しています(違ってたらすいません、ちょい曖昧です)。
現行を開けて確認してみました。
ん?
MN3005?
おっと、仕様がブラッシュアップされていました。これが噂の「予告なき仕様変更」と言うヤツでしょうか。
MN3008 / 100~110ms x4
MN3005 / 200~210ms x2
MN3005はMN3008の上位互換モデルで、より長いタイムとノイズの減少に成功した素子になります。
(※BBDのスペック=機器の公表ディレイタイムでありませんのでご留意ください)
上記で書いた通りに、足し算になるので「足す数が少なければ素子の品質如何の影響を受けづらい」と言う事から、不安定要素の少ないノイズの影響を音に与え辛い仕様に変更になっていました。たまには裏ブタ開けてみるもんですね。
めんつゆに例えるとしたら、Memory Toyは濃縮3倍などの水で薄めて作るタイプだとして、Deluxe Memory Manはお蕎麦屋さんのかえしと出汁を合わせたつゆのそれ。非常に芳醇でしっかりとボディがある深みのあるつゆ。
特にDeluxe Memmory Manは「DC24V駆動」なので、非常に太くてしっかりしてます。
差別化する意味でもBBDのみで構成するアナログディレイを「ピュア・アナログディレイ」と称する方もおられますね。
昔はコレしか無かったですが、この令和、便利で何でも言う通りになりそうな時代、思い切ってこの重くて厚い扉をあけてみるのも如何でしょうか?