大阪店頭に並んでおりますBad Cat。やはりお客様からの関心も高く、足を止めてじっくりご覧になられる姿がよく見受けられます。ギタリスト歴の長い方からは、Bad Catとの再会を祝する嬉々とした歓声があがり、学生さんや20代前半のバンドマンの方々からは、初めて目撃する憧れのアンプへの感嘆の声が聞こえてきます。かくなる私も実物のBad Catを目にするのは初めてですので、「コレがあのアンプか」と皆様に近い感覚でこの入荷を喜んでいる次第です。
今回ご紹介するのは「CUB Head」。CLEAN/OVERDRIVEによる2つのゲインモードを装備した1CH仕様で、今回入荷した全7機種の中で最もシンプルな操作感。フラッグシップ・モデルであるBLACK CATから1CHを抜き出したスタイルの本機は、源流を辿るMATCHLESSで言うところの「Lightning」にあたります。15W出力のLightningに対して、こちらのCUBは30W。パワーは申し分なく、マスターボリュームも2系統用意されているため、取り回しのよさが嬉しいです。サイズ感としても小型なMarshall 「Studio JTM ST20HCC」を一回り大きくした程度のため、持ち運び可能なマイアンプ候補としてもかなり有力です。(写真6、7枚目参照)
また、CUB初登場の2000年以来(私とほぼ同年でかなりの親近感)、真空管にはBLACK CATと同じEL84が採用されていましたが、この新生Bad Cat Cubで選ばれたのはEL34(でした)。弾き味もよりフラットといったところで、シンプルなアンプのコンセプトに音色面でも寄せられた印象です。
THE憧れのブティックアンプですが、サウンドはいい意味で素朴。高級アンプによくある「ちゃんと弾かないといい音が鳴らない」という謎の緊迫感からの開放。どう弾い立って良い音を安定して供給してくれる、奏者側の安心感が凄いです。さらに、低~中域のみっちり感に後押しされたバッキングからリードまでのシームレスな音色展開。ペダルとの相性も選ばないため、お手持ちの機材とセッティングの持ち味を活かしたいという方にもかなりおすすめです。
私も含め、Bad Catに対して高貴な距離感を感じているプレイヤーにこそ、このアンプの人懐っこさを知っていただきたいですね。猫だけに。