今回は Fender Custom Shop より『2022 Fall Event Limited Roasted 1956 Stratocaster』のご紹介です。
こちらは2022年秋のFender Custom Shopディーラー向けイベントで出展された限定モデルです。
このモデル最大の特徴の "ローステッドアルダーボディ" と "ローステッドメイプルネック"。
「人工的に水分を飛ばした加工ってどうなのよ…」かくいう私も、このギターを弾くまでそんな考えを持っていまして…
しかし実際に手に取って鳴らしてみると、その無駄のない軽やかな鳴りに驚愕しました。
まるで長年上手なプレーヤーに弾きこまれて木材が十分に熟成されたような鳴りをしていて、ネックとボディからダイレクトにその生鳴りが伝わってきます。
単音で弾けばアタック感のある早い立ち上がり、コードを弾けば軽やかながら粒立ちの良いまとまったサウンドを奏でます。
鳴りを良くするためのギターの加工法として間違いないやり方だなと、このギターに気づかされた次第です…🤦♂️
ネックシェイプは適度な厚みのある "10/56 V-Shape" を採用。Vシェイプとはいうものの、ハイフレット付近はCシェイプに近い形状で、握りこみやコードの押さえでVシェイプの恩恵が欲しい 3~10フレット あたりが、Vシェイプを一番感じられる形状になっています。
全体的なトータルで見るとかなり弾きやすい形状で、モダンなプレイにもしっかり対応できる万能なシェイプだと感じました。
PUには "Hand-Wound Ancho Poblano Strat Single-Coil" を搭載しています。おそらく名前の由来はメキシコ原産の唐辛子で、"Ancho Poblano" で画像検索するとものすごい量のトウガラシと少しストラトキャスターが出てきます。
フロント&センターはアルニコ3/フォームバー、リアはアルニコ5/エナメルを採用して少し出力を上げ、全体的にバランスの取れたトーンが特徴です。
フロント&センターはダイナミクスの幅が広く、クリーンからゲインサウンドまでピッキングニュアンスがかなり生々しく伝わります。上手く鳴らせれば軽快なトーンから深みのあるサウンドまで対応できます。
リアはワイドでオープンなトーンが特徴で、唐辛子が名前の由来なだけあってスパイシーさを感じるサウンドです。クリーンとゲイン問わず、まさしくリアポジションにふさわしいサウンドに仕上がっています。
そしてなにより、ヴィンテージホワイトカラーにアノダイズドピックガード、そこにレリック加工とバツグンな雰囲気の仕上がりです…✨
ローステッドネックがまるで濃い色焼けのような見た目になり、ボディカラーのコントラストと相まってローステッドネックながらほぼ違和感のないルックスに仕上がっています。(ちなみにティント "色焼け加工" は施されていません)
一風変わった要素を詰め込みながらも、トータルで見るとかなりの戦闘力が盛り込まれた一本!
ルックスもサウンドも一味違う要素ながら、幅広い対応力を備えたオススメのモデルです💪