■MXR Talk Box [M222]
元来、トークボックスは箱の中にスピーカー(または同等のもの)入っていて、
「アンプのスピーカーアウトから接続する」仕様でした。
電気の区別のお話しに移りますが、
【DC(直流:大きくてもピリッと感じる電流)】
・ギターから出る信号
・エフェクターに繋ぐ信号
・アンプのセンドリターンの信号
・パワーサプライなどからエフェクターに送る電流
【AC(交流:小さくても感電する電流)】
・コンセントに繋ぐ電流
・パワーアンプからスピーカーに送る信号
と言う訳で、「アンプのスピーカーアウトから接続する」仕様と言う事は「小さくても感電する信号」を扱うエフェクターと言う事になります。
その「小さくても感電する信号」をホースを通して人体の口内に一度入れて、跳ね返った音をマイクで拾うと言う方法になります。その際にホースをくわえたまま「話す動作」を口で行う事により「音が喋っている」様な効果が得られます。
低出力のアンプでは有効なレベルのスピーカーアウト信号を得る事は難しく、大概100watt~200wattの高出力モデルでの使用となります。そんな高出力信号を取り込む訳ですから、帯電しているホースを握るだけでもサワサワと電気の高さを感じられます。その演奏中に電気による口や頭の痺れなどで快楽を得る方も史上では多く、その大半はドラッグ常習者でもありました。
話しを戻しますと、中々原始的な方法論で音作りをするエフェクターで、中々人体にもリスキーな機材であったわけですが、現代的にアレンジを施され、リスクを可能な限り低い所に落とし込んだのがMXR Talk Box [M222]です。他にはRocktron Bansheeもありますね。
何が変わったかと言いますと、パワーアンプからの「スピーカーアウト」を必要としなくなった仕様になります。
エフェクター本体の中にスピーカーがビルトインされたミニアンプ(いわゆるコンボアンプ)が直接入った事で、足元のエフェクターの組み合わせの中に混ぜる事が可能になりました。
ホースに送る音も、事前のアンプ回路に「TONE、GAIN」が備わっているので元来よりもメリハリを効かせる事が出来る様になっていて、ホースの音が扱いやすくなっています。
ホースを通る信号は同じ「スピーカーから出た信号」ではありますが、要は「元々は漏電した電流すらも流れていた」状況からスピーカーから出た信号のみにする事が出来たという事です。とは言え電気は空気を通りますから、まぁ多少は静電気を帯びてバチッと来る場合もあるでしょうが、それはそれで醍醐味とお考えください。
近年ではお笑い芸人:ザ・マミィの2人による贈る言葉を歌うコントでこのMXR M222が使われており、音楽シーン以外からも注目を得ていますね。YouTubeなんかで追って観たりすると若干マネしたくもなります。
持っていて便利だなと言う機材では全くありませんが、スティーヴィー・ワンダー然り、あの効果はこれでしか得られない独特な世界線の機材です。
是非チャレンジしてみてください。