プレミアムベース大阪、小村です。
突然ですが私、辛い物がめっちゃ好きでして。
昼食のカップ麺は大体3種類でローテ組んでますし、休みの日は辛い物を求めて色んなお店に足を運んでいます。
舌鼓を打ちつつ己への挑戦も出来る…素敵じゃないですか?
今の野望は…辛い物好きを集めて「大阪で辛い物と言えば…」な"あそこ"に挑戦しに行くこと。
奢りはしませんが「行こうぜ!」という方はご来店の折に小村へお声がけください。
こちらも人材を揃えておきます。(一人、熱心な奴が1Fに居るんです…だーれだっ?)
さて、辛い物の愛を語っていたところ、まるでお告げの様にホットでチリペッパーなスラップイントロが聞こえてきました。ということでコイツと向き合います、「スティングレイ」です。
「イノベーター」とか「父」とか、そんな形容詞が似合いすぎる偉人「レオ・フェンダー」が1972年に興した会社がミュージックマン。
速攻で楽器を作るかと思いきや、まず製品として世に出たのはギターでもベースでもなく「アンプ」。
そんな歴史ですが、実は創業前の1971年、レオさんを含む4人を中心に水面下で開発は行われていたようで…1976年世に送り出されたのが「スティングレイ」と言う訳です。
ちなみに開発陣には…某日本の製薬会社並みに鳥のマークが良く似合う「アー二ー・ボール」の創業者ご子息…現会長のスターリング・ボールもいました。
この頃のスティングレイですが、しばしば「プリアーニー」と呼ばれるモデルがそれにあたります。
パラレル接続されるハムバッカーPUと2バンドEQ、3点止め+マイクロティルトアジャストのボルトオンジョイント、ブレットナットを用いてヘッド側に取り付けられるトラスロッド調整口と…まぁ「あのスペック」が見事に継承されています。
(それを再現したモデルも現行でリリースされていますね。…今ウチにはないんですけどね、)
この年代というと…音楽では世界的な「ディスコ・ブーム」がカチ当たっています。
ということで、その手のジャンルで活躍するプレイヤーがこぞって愛用していたそうです。
ルイス・ジョンソンやバーナード・エドワーズなんかはまさにそうですね。
そしてその両名による「音」は言わば真反対に位置するであろう「ロック」にも波及します…1980年、クイーンのベーシスト、ジョン・ディーコンによって作曲された「あの曲」もそうですし、その数年後にはマイケル・ピーター・バルザリーこと「フリー」もバンドでデビューします。
ちなみに…このあたりでネックジョイントが4点止めになり、2バンドEQから3バンドEQへと仕様が変わっていきます…ちょうど「アーニー・ボール」がミュージックマンを買収する近辺です。
そうして、今の現行に近い形となりました。
そしてスティングレイが今の様に広がったキッカケに…1990年代~2000年代初頭の音楽は絶対影響してると個人的に睨んでます。
というのもこの頃…メサのレクチやピーヴィーの5150を筆頭に「ハイゲイン・ギターアンプ」がこぞって生まれ、それに呼応するように「ロック・ミュージック」が重く、そして激しくなっていきます。
加えて、新しいアプローチとして「ミクスチャー」や「モダン・ヘヴィネス」等もが誕生してるんですね。
そんな状況に立ち向かえるパワーを持ったベースも同様に求められたのでしょうけど…その頃に隆盛したベースは「パワー」というよりも「クリアさ」が持ち味のハイエンドブランドばかり。
「さぁどうしたもんか、…あ!そうだ!」って当時のベースキッズ達は絶対なったはずです。
しかも90年代中盤~後半はスティングレイに5弦モデルが出た時もカチ当たります。
まぁぶっちゃけ今書いた事の99%は僕の妄想ですけど…こう書いてみたら「そうなのかも?」って思えるくない?
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…いや、ちゃうねんて。
ホンマは俺ももっとスッと物の紹介したいねん。でも「向き合う」ってそういうことやん。
もう皆もしんどいと思うし、俺もしんどなってきたんで、モデル紹介いきまーす。
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偏った見方をしてもこれだけの歴史があるスティングレイですが、モデル誕生から42年を経た2018年…大変革が行われます。
伝統的なスタイルはそのままに、デザイン/サウンド/操作性をより一層洗練させ「StingRay Special」へと生まれ変わりました。
じゃあ頭の先から順にご説明していきますね。
先ずはペグです。
従来はシャーラーOEMと思わしきペグが装着されていましたが、StingRay Specialでは自社製の軽量ペグが装着されています。
このペグ、ポストが逆円錐になっているので弦が自動的にナット底面に沿う様に巻く事が出来ます。しかもピッチの安定性もバッチリときた。
そこからナットへ向かいます。
こちらは90年代から登場したコンペンセイテッド・ナット(補正ナット)が採用されています。
これのメリットですが…よーく見てください、弦が折れ曲がるポイント…すなわち「支点」の位置がバラバラになっていますね。
つまり、ブリッジに於ける「オクターブチューニング」の状態がナット側でも行われている形になっています。
続いて指板やネック周り。
ネックはローステッドメイプルになりました。指板は「ローズウッド」「ローステッドメイプル」「エボニー」の3種類がラインナップ。画像の子はローズウッド指板です。
そして…フレットは標準でステンレスフレットです。背が高く幅広の物が使われているそうです…本国HPのスペックでも具体的に書かれていませんが、そう言う事でしょう。
ネックグリップはオイル仕上げでスムーズなプレイアビリティを実現します。
って具合でボディに向かっていきましょう。
トラスロッド調整はネックエンドに取り付けられたホイールナットを使うタイプ。
チューニングしっ放しで調整出来るんで、イジる目線だと結構嬉しい。
このボディ材、「Select Hardwood」との記載があります…「ハードウッドってなんやねん」って皆思いますよね?…しょうがないな~、ちょっとだ~けよ~っつってハードウッドの正体、見せちゃいます。ええ、そういう事です。
ちなみに「Select」の部分ですが、Specialで一つテーマに掲げられたのが「軽量化」ということで、比重の軽い材料が狙って使われています。ボディシェイプも全体的に丸みが付けられ、体によりフィットするシェイプになっています。
そしてネックジョイントも6点止めから5点止めに変わり、ヒール部分も滑らかにカットされました。
(スターリンベースと形は近いかな?)
ちなみに塗装はポリです。あとね、Specialになってめっっっちゃ色増えました。
下に載せてるのはあくまで一例。調べたらもっといっぱい出てくるよ!
続いては電装周り。
ピックアップはネオジムマグネットを使用したオリジナルハムバッカーを搭載し、プリアンプも旧来の9V駆動から18V駆動に改められました。
これにより、スティングレイらしいやんちゃさを良い方向に少し落ち着かせたサウンドに変わっています。
そして5弦モデルはコイルセレクターが付いてます。
そうそう、最近スティングレイ遣いでスッゴイ人見つけたんです…Ryan "Tuck" O'Learyっていう人なんですけど、調べてみて下さい。
何ってもう凄いです。
もっかい言いますね、凄いです。とにかく見てみて下さい。
マネは…しない方が良いです。
あらゆる観点で、個人的には「一層いろんなところで使い易くなった」っていう印象ですね。
しかしながらちゃんと出音は「スティングレイ」というね。
良い進化したなぁと思います。
昔ながらのやんちゃさも良いけど「コレ」にはコレの良さもあるんよ、うん。
それこそ、フラクタルとかケンパーとか、あの類を使うなら…個人的にはSpecialに軍配。
まぁ昔のでも使えるし、Specialをサンズでベキベキするのもカッコええけどな。
スッゴイ色々書いたけど、ここまでの内容を3行で纏めると…
スティングレイスペシャル、ええよ!
試してみて!
以上!
っつー感じで~。