今年のハンドクラフトフェスで人目をひいた「Po Sans Guitars~ポーサンズ ギターズ」!
尾形光琳 の「風神雷神図屏風」の裏に 酒井抱一 が描いた、「夏秋草図屏風」の二曲一双という様式の屏風の、抱一の視点をモチーフにデザインされたウクレレ。カッタウェイが「夏秋草図屏風」の右隻の水の感じを、ブリッジが描かれた夏秋の草花の雰囲気を踏襲している様に感じます。サウンドホール内の金箔とヘッドの仕上げも屏風らしさを演出していますね。
奥深いのは、このウクレレのサイドバックが美しいフレイムメイプルの純白(本物の光琳の風神雷神図屏風は金箔張り)、ということです。このウクレレの作者であるポーさんは、抱一が「夏秋草図~」を作成している時に、1世紀ほど前に描かれた裏面の巨匠の作品について「自然に近い美」と感じていたのではないか、という仮説を投げかけているように思えます。その視点によって、このウクレレに3つの芸術家の魂が時を超えて触れ合う衝撃を漲らせています。
ウクレレという楽器はハワイの伝統楽器です。そこに、日本を愛する者にしか知り得ない和の伝統と素材を融合させる手腕、つまり時と場所を超越する思想を持ち込み、作品として昇華させています。個人的には、光琳と抱一の二曲一双だけではなく、ハワイと日本の二曲一双でもあると感じます。
勿論、サウンドも素晴らしくて、素材や仕様の工夫(ラベルの金箔は音響面でも効果があると考えられます)が作り手の想いをダイレクトに放射され、そこに演奏者の情緒や音楽観を載せる事で、より深い演奏表現に到達する事ができます。ちなみに作者のお人柄なのか、木材の特性を生かした、優しくて深みがありつつ、抜け感のある音色がしますよ!
日本人がウクレレを弾く、ということの意味や価値を1本のウクレレを製作することで徹底的に掘り下げた完全にワンオフのモデル。他では体験できないサウンドや質感をです!