「G string」というウクレレブランドがあります。
かつてはハワイ3大ウクレレブランドのひとつに数えられ(あとふたつはカマカとコアロハですね)、かなりの数のファンに愛されたメーカーです。現在はアメリカ・ラスベガスに工房を移し、そこで創始者のデレク・シミズ氏が、ウクレレの4弦G線の名を背負って、単身素晴らしいウクレレを作っています。(うっかり「G string」でGoogle検索すると大変なことになるので、周りに人がいる時はやめましょう)
G stringは今年創業25周年で、創業者のデレク・シミズさんは、1993年から警察官になるために学校に通いながらも祖父母のガレージでウクレレ造りに励み、1997年にはオアフ島のハラワバレーにお店を開き、ブランドを法人化しました。それからそちらで12年ほどウクレレ製作と販売と卸をしていましたが、その後ハワイ島のヒロに移り、それまで4人チームだったウクレレ造りを、それ以降は完全にひとりで行うようになりました。その後2010年代前半にしばらく沈黙の時期があり、2014年にラスベガスで華麗な復活を果たしました。
ハワイ製時代の、しっかりした音程感と、独特な重みのある音色、素晴らしい木材セレクト、瀟洒なデザインはメインランド製造になった今もしっかり継承されています。むしろ、やや重厚感が増し、ソリッドな印象になったように思います。デレク氏の真摯な姿勢が滲んでいるかのようです。
ところで、風の噂でデレク氏がハラワ時代のウクレレチームを解散した理由について「チームメンバーの遅刻がひどかったから」という話を聞いたことがあります。実にハワイらしい話です。警察官志望だったデレク氏には、ハワイ時間的なルーズさが我慢ならなかったのでしょう。
そんな実直なデレク氏が、知ってか知らずか「G string」なんていう言葉を自分のブランド名にするなんて、、運命というものは、時に残酷な悪戯をするものなのだと感慨深い思いです。(けっして人がいるところで検索しないでくださいね!)