YAMAHAのクラシックギターを長年愛用していました。
友人の父上から借りたGC22Cで、低音がふくよかでとても良い音がしました。音程感も抜群で、合奏の際も大いに活躍したのですが、これにはピックアップが付いていませんでした。
当時 私(Gt)は実の母親(Vo.三線)や母の友達と沖縄音楽ユニットを作って沖縄料理屋さんや公民館・高齢者施設・病院・ライブハウスなどで定期的にライブしていたのですが、その際はギターの前にボーカル用のマイクを立てて演奏しておりました。しかし、マイクは音色は良くても距離感の調整や他の楽器との兼ね合いが難しく(他人様のギターを改造してピックアップを取り付けるわけにもいかず)どうしたものか、、と最適解を探して日々苦悶呻吟する日々を過ごしたのです。
そこでは私は超頑張ってスペイン製のややお高いエレガットを購入しライブに臨みました。しかしリスナーの感想は「お高くとまっている」「音がドヤ顔」と散々だったので、すぐにヤマハ&立てマイクに戻しました。
続いて私はフォークギターに持ち替えてみる事にしました。音量も大きくなり、音色も悪くはないのですが、三線&クラシックギターのナイロン弦同士の相性に比べると角が立つような気がします。ギターの事は良く知らない母も、眼差しだけで「微妙」と訴えてきたので、再び良いエレガット探しの旅が始まりました。
次に買ったコルドバは良かったのですが、ちょっと私(たちの沖縄音楽)にはサウンドが明瞭過ぎました。
それから私も結婚して子供ができ、だんだん母親との沖縄ン・ユニットも目立った活動が無くなり、ガットギターのライブでの出番も無くなっていきました。
そんな中、昨年ヤマハ社からピックアップ搭載の12フレットジョイント・52mmナット幅という本格スタイルのクラギ「CGX122」シリーズが発売されました。郷愁に駆られながら爪弾くと、あの頃の記憶が一斉に花ひらくサウンドじゃあないですか。うぉぉあの頃これがあったなら。
ライブしながら母親や仲間たちと沖縄で縦横無尽に活躍しているパラレルな自分を想像して、遠く目を眇める私なのでした。