ウクレレ担当として、シモレレについて触れないわけにはいきません。

日本のウクレレルシアーの祖とも言える志茂崇弘さん(が造っているウクレレだからシモレレです)と初めてちゃんとお話ししたのは確か2012年の東京ギターショウの時でした。私は現地で販売員をしていたのですが、そこにご挨拶のためにひょっこり現れた志茂さんに、当時ウクレレ勉強中だった私はいろいろと質問をさせていただきました。コアの次に好きな木材は何ですか?(答えはモンキーポッドでした)とか、好きなピックアップは何ですか?(D-TARでした)好きな弦は何ですか?(今は無きHilo弦でした)などなど。

そのころ私と志茂さんはお店で2~3回顔を合わせたことがある程度の距離感で、さして親しくもなかったのに志茂さんは上記の質問に、懇切丁寧に答えてくれはしました。(「この人どんな人だっけ?」という空気は少し流れていました。)

それからしばらくたって、私は志茂さんとお仕事の上で話をすることが増えてきて、工房にお邪魔させていただくようにもなりました。志茂さんの工房は八王子で、志茂さんらしいお洒落で可愛い看板が目印で、中には木材や治具が所狭しと詰まっていました。私はそこからいくらかオススメ木材をピックアップしていただき、志茂さん独特のシェイプや仕様で数本のウクレレをオーダーしました。現在もりもりと作っていただいているところであります。

そんな志茂さんのウクレレをひとことで表すと「お茶目」です。志茂さんご自身が茶目っ気たっぷりな方で、その個性が製作する楽器にも宿っています。

茶目っ気というのは遊び = 余裕のことです。ここ20年くらい日本は無駄な労力や時間を使わない方向に進んできました。その結果、余裕が、心の豊かさのようなものが薄れてきていないでしょうか(正確には、心の豊かさにさえ格差が生じていないでしょうか)。簡単に誰かが誰かを許すということが嗜好品になってしまったのです。そんなご時世だからこそ、生きていくのに必要とは限らない「お茶目さ」を世に発信し続ける志茂さんの楽器とそのお人柄には、とても価値が有るように私は思います。

2022/08/12 アコースティックステーションリボレ秋葉原 安広 のスタッフレビュー

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