歯擦音という単語、この単語に含まれる歯擦音が多くて、めちゃくちゃ芸術点高いよな、と思っています。斉藤です。説明する時に便利。名は体を表す。ラーメンズ。
突然ですが皆さん、ディエッサー使っていますか?
通常のディエッサーは、マルチバンドコンプやダイナミックEQを高域だけにかけるような仕組みになっています。そのため、一定のスレッショルドを基準に動作するかどうかが決まります。
例えば、曲のある部分でウィスパーボイスのパートがあるとしましょう。この場合、声量自体が小さいので歯擦音がスレッショルドに引っかからない……という事が起こりえます。
これに対応しようとスレッショルドを深くすると、他の部分で音が暗くなりすぎたり、結局ここだけトラックを分ける羽目になったり……
そんな煩わしさから解放されるかもしれません。
という訳で、Lindell Audio 902 De-Esserのご紹介です。同人誌とレビューの導入は短ければ短いほど良い。今回は長すぎました。
こちらdbx 902というビンテージのディエッサーをプラグイン化したもの。
コンプレッサーの一種であるにも関わらず、スレッショルドが無いという何とも不思議な設計です。
さて、スレッショルドが無いのにどうやって歯擦音を検出しているのでしょうか?
"The 902 compares the level of the high frequency you select to the rest of the signal"
とは公式サイトの言。つまり、入力音量全体と、高域のみの音量を常に比較し続けます。高域の音量が、全体音量の〇%を超えた時にリダクションが発生する……という仕組みだそう。
コロンブスの卵のようなもので、言われてみるとなるほど、確かに合理的な手法です。
割合を基準にする事で、入力音の大小に左右されずにディエッシングができます。
コントロールがシンプルになるのも恩恵が大きいですね。少ない思考リソースで素早く結果を出せる。大事なことです。
ちなみに、実機はもう入手困難ですが、dbx 520という500シリーズのモジュールとして復刻版が販売されています。A/Dの前に歯擦音を軽減出来る恩恵は絶大。そして格安。流石dbx。こちらもめちゃオススメです。
いまだ唯一無二のディエッサー、是非ご検討ください!