ハートマンヴィンテージギターズの吉野"ジャスミン"陣です。
私事ですが、先日うちの店長小松崎に連れられて海に行ってきました。特に泳いだりはしてないんですけど、素敵な写真を撮りましたので私のアイコンにしておきます。
【KAWAI MOONSAULT '40 COSMO late90's】
悪ふざけみたいな形ですが大真面目です。
2027年に創業100年を迎える「河合楽器製作所」、一般的にはグランドピアノの会社でしょうか。実はギターも作っていたんですよ……なんてのは皆さまご存じですよね。
1950年代の終わり頃からクラシックギターの製造を開始、1960年代には輸出向けエレキギター事業に参入したカワイはTEISCOを吸収。輸出、OEMでノウハウを身に着けたカワイはオリジナルモデルの開発にも精力的で、1977年にMシリーズやXシリーズなどのオリジナルモデルを投入。同年には奇抜なシェイプの「MOONSAULT(ムーンサルト)」をリリースしました。
カワイギターでも特に知名度・人気が高いムーンサルトですが、開発のきっかけは些細なものだったようです。同時にかなりの数のギターを開発していた中、アポロ計画など世間的に「宇宙」へ関心が集まっていたこと、普通のギターに飽きてきたことから、宇宙をテーマにしたインパクトのあるギターの開発が始まったとのこと。最初は星形なども検討されていたと言いますから、いかに刺激に飢えていたか、徹夜の会議だったのか、もはやヤケクソかなどと思えてきます。
モデル名は体操競技の鉄棒の技「ムーンサルト」に因んでいますが、なんと1972年ミュンヘンオリンピックでこの技を披露し金メダルを獲得した塚原光男氏は当時河合楽器体操部に所属していました。運命じゃんね。
ムーンサルト自体は1985年頃に生産終了。しかしその後もベースモデルやアクリルボディの「クリスタルムーン」などのバリエーションを増やしほそぼそと生産が続いていました。生産終了とは…?1997年にはカワイのギター参入40周年を記念して「MOONSAULT '40」として復刻。2004年にはムーンサルト25周年記念モデル「MS-25ANV」を限定生産しましたが、カワイがギター産業から撤退してしまったためか復刻もそれなりにお値段がつくようになりました。早めに買っとこうな。