ハートマンヴィンテージギターズの吉野"ジャスミン"陣です。
先月、アメリカ買付に行った当店の小松崎の語るところによれば、アメリカは乾燥と朝晩の寒暖差が激しかったそうです。日本も最近は乾燥が気になる季節になりつつありますが、日本には美しき四季があります。そう、春夏夏夏夏夏夏夏夏秋冬秋冬冬冬ですね。今日は二回目の秋です。
【TEISCO Del Rey E-120 mid60's SB】
テスコ七変化がひとつ、デル・レイブランドの輸出用ギターでございます。
1965年、テスコはアメリカの卸売り業者「WMI(ウェイス・ミュージカル・インストゥルメント)」と契約を交わし、アメリカに輸出されるギターはすべてWMIが取り仕切ることになりました。それまでは現地の楽器店や問屋に直接売り込み、狭く小規模な販路で細々と海外輸出していたテスコが、国内総合商社「丸紅」との連携によってビッグディールを実現しました。そしてWMIからの要望により、アメリカ向けに輸出されるギターはすべて「Teisco Del Rey」ブランドとして製造されることになったわけです。ちなみにWMIはもともとカメラの輸入をしていたそうです。「ミノルタ」をアメリカに流通させたのはWMIだと言われているようですが、どうなんでしょうね。
様々な輸出用ブランドを保有したテスコですが、本家テスコ以外で最も流通したのはテスコ・デル・レイで間違いないでしょう。なんせアメリカ全土に流通させたと言いますから、もしかするとテスコ名義よりも多いなんてこともあり得ます。
このE-120は国内でいうところの「MJ-1L」でしょうか。ちょっと違うかな……この時期の国産にはありがちですが、仕様がまちまちなためドンピシャなモデルが思いつかないのですよ。でも多分、MJ-1Lにあたるモデルじゃないかと思います。もし違ったら木の下に埋めてもらっても構わないよ
外観は結構キレイで、塗装面にはしっかりと艶が見て取れます。ちょっとネックまわりが甘いのでガシガシ使いたいならリフレットを検討したほうがよいでしょうが、まあそういう楽器でもないでしょう。ヘッコヘコのショボい音を想像しているかもしれませんが、意外にもパワフルでジャキッ!と鋭いトーンが楽しい。いい楽器ですね。