ハートマンヴィンテージギターズの吉野"ジャスミン"陣です。
これくらいの時期特有のさ、ちょっと肌寒いのに動くと暑いみたいな陽気。イヤですよね。ジメジメしちゃってさ、なんかもうキノコが生えちゃいそう!
【Guyatone LG-70 early60's Sunburst】
1933年。当時松木氏が立ち上げた松木製作所ではこのころアメリカで登場した電子楽器、つまりエレクトリックギターの開発をしていました。翌年にはアンプやスティールギターを完成させ、ミュージシャンからの評判も上々だったと言います。戦後1947年、松木電機音響研究所を立ち上げ本格的にエレキギターの開発を開始。1950年には日本初のソリッド・エレキギター「LG」を完成させ、松木氏のニックネームにちなみ「GUYA」のブランド名で展開。翌年あたりにGUYATONEに改名されますが、国内ではほぼ売れず主に輸出用だったそうです。
さて、こちらのLG70。1960~61年頃に登場したモデルです。当時のLGモデルはLG-55、70、85、そしてLG100。見ての通り、F社JMモデルをデフォルメしたようなシェイプを持つLG70ですが、グヤトーンの歴代モデルを見ると面白いことがわかります。
前述のようにグヤトーン初のソリッドエレキは「LG」モデル。これは「レスポールギター」の略で、1950年代にラインナップされたLG40やLG60を見ての通りG社LPモデルを意識したモデルでした。実際、松木氏がソリッドエレキの開発に乗り出したのは「レス・ポール&メリー・フォード」のレコードを聴き、そのサウンドに感銘を受けたためと言われていますから、やはりグヤトーンの原点はLPモデルだと言えます。
しかし、どういうわけか1960年代に入るとこのLG70をはじめほぼすべてのモデルがF社風になり、G社風モデルもLP風のシングルカットモデルもほとんどラインナップされなくなるんですよね。なにか心境の変化があったのか?1960年頃はグヤトーンにとって時代の転換期になりました。
かつて"JH"がアマチュア、軍役時代にはLG70を使っていた写真もあり(輸出ブランド名のものとされています)、ファンアイテムとしても……いやちょっと弱いか。しかしレジェンドの軌跡を辿る一本として価値のあるギターです。気になる方は少し触ってみるだけでもどうでしょう?