ハートマンヴィンテージギターズの吉野"ジャスミン"陣です。
世間はハロウィン一色というほどでもない10月の終わり、皆様いかがおすごしでしょうか。私はあまりに邪魔なカボチャのバルーンにアックスボンバーを叩き込むなどしています。ちょっとかわいいからって調子に乗るなよ?
【Aria ProII LC-500 '81 TobaccoBrown】
先日に引き続き国産LPコピーモデルです。
LPコピーモデルは様々なメーカーで製造されていましたが、国内メーカーで初めて製造販売したのは荒井貿易だという説があります。初号機こそホロウボディでしたが、翌1969年頃には「ダイヤモンド・カスタム」というソリッドボディのコピーが登場しており、ジョイントこそデタッチャブルネックながらLPモデルをこよなく愛する荒井貿易の荒井史郎社長の情熱を感じます。荒井社長は1970年代初頭に発足した米Gibson正規輸入代理店・日本ギブソンを率いた方。お立場的にAria Pro IIでのLPコピーモデルは少々リスキーにも思えますが、そのLP愛が高じてか継続して作っていました。
LC-500は見ての通りLPカスタムタイプのコピーモデルになりますが、シリアルナンバーなどからカタログに掲載されていない1981年頃の個体。ちょうどLC-600Dに切り替わる時期ですが、各部の特徴からLC-500と判断しました。低価格帯ながらしっかりソリッドボディにセットネック仕様で、LPに対する妥協は一切ありません。トップはセンター2ピースで角度によっては(特にエンド側から見ると)トラ目が出ていてキレイです。ネックはメイプル3ピースですので当時のLPモデルに倣って作っています。お手本はいくらでも手に入る環境ですからね。ただ、内部の写真を見てもらうとわかるんですが、中子がボルト留めになっているのは面白いですね。これは1983年頃までの国産Y社SGモデルにも見られた特徴です。流行ってたんかな。
LPモデルは本家はもちろんのこと、コピーモデルすらも奥が深い。各社しのぎを削ったジャンルだけに、国産モデルもかなり成熟しています。その中でもAria Pro IIは特にクオリティが高い気がします。愛だね。